
GANさんのParis日記 2 [[/img/paris_logo.jpg
投稿日時 2005-3-30 12:55:22 | トピック: 岡崎がんのParis日記
| カフェとタバコ
タバコが切れるとカフェへ買いに行く。パリにはタバコの自動販売機は一切ない。「TABAC」と看板が掛かっているタバコ屋で買うのだが、かといってタバコだけを売る専門の「TABAC」はあまり見かけず、たいていはカフェや、雑誌店が兼ねている。
カフェでは店の片隅のカウンター沿いの一角がタバコ売り場になっている。タバコ以外にも切手印紙、宝くじの類、ガムその他を扱っていて、このコーナーには終日切れ目なく人が出入りする。宝くじの客が前にいる時などは、やれ、当たった当たらない、いくらの払戻しだと、えらく待たされることになる。
ちなみに、パリではここ数年間にタバコの値段が急騰し、一箱七百円程度もする。タバコ税の増税のせいだ。今やタパコは高級品となってしまた。そこで防衛のために手巻きタバコに切り替える喫煙派が増えた。僕もその一人である。パックに詰まった手巻き用のタバコと、ペーパーを別々に買い、自分で巻いてタバコを作る。この方がずっと経済的である。慣れれば手間はかからないし、巻き具合、太さや密度を自分の好みに合わせることができる。難点は日がたつにつれてタバコの葉が乾燥してしまうところだが、封の切りたてはみずみずしく香りも高い。
さっそく一服味わおうと、タバコを買ったあとにはカウンターにまわってカフェを注文する。長居するつもりはないから席には着かない。カウンターに立ったままで十分だ。 薄い泡の幕を張って湯気を立てるエスプレッソを前にして、買ったばかりのタバコの封を切る。閉じ込められていた香りが鼻先に広がる。しっとりとした感触を指先で楽しみながら、タバコの葉をていねいにほぐす。巻くのは手慣れているが、この初の一巻きにはいつもより気を入れる。火を付け、深々と吸い込み、ゆっくりと煙を吐き出す。うまい。申し分ない。やはり封切り後の一服は格別だ。
おもむろにカップに手を伸ばし、カフェを一口含む。強い苦みが口の中に広がり、胃に染みこむ。後を引く苦みがタバコを引き寄せ、煙がカフェを呼び寄せる。香ばしさが混じり合う。カフェとタバコは相性がいい。 カウンターに立つ時は自然と肘をもたせ、背をもたせかけた格好を取ることになる。そうやってくつろぎながら店内の様子や、表の通行人を見るともなく眺めやる。心を空にして過ごすデミタス一杯の時間、タバコ一本の時間。 吸い終わったタバコは床に捨てる。遠慮することはない。カウンターでは灰皿は使わずポイ捨てするのが慣わしなのだ。床は定期的にギャルソンがほうきで掃いてまわる。
区切りの儀式のように、靴で火を踏み消し、さっと勘定を済ませて外に出る。
2005March/Gan#2
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