お洒落・ア・ラ・モード [[/img/R_contents_fujiko.jpg

投稿日時 2005-3-9 17:50:09 | トピック: お洒落・ア・ラ・モード

Bain moussant  バスバブル 〜 幸せの香り

 「これー、マジいいにおいなんだけど。」そう言って年下の友人がくれたものは、なんともその言葉に似合わない綺麗なものだった。パリ土産だといって渡されたそれは、赤い透明の液体の入った小ビンで『Bain moussant』とフランス語で表記されており、こじゃれていた。「使わないで飾っておいて顔」をしている。
 中の赤い液体とナチュラルなラフィアのリボンとグリーン色の効いたラベルが、「本当に私ってかわいいでしょ」と言わんばかりなのだ。こういうのには騙されない。今日の風呂に入れてしまおう。

 2年前までフランスに2年間滞在していた。自分リセットの為に選んだフランスという憧れの国で、私は色々な物を見て感じるという事を大切にした。勝手で乱雑でいいかげんな生活習慣で鈍った嗅覚を取り戻したかった。
そんな生活の中で最も私が大切にしていた時間が読書とお風呂の時間だった。日本から買って来た本や、読めないけど買ってしまったフランス語の料理本のやファッション雑誌を見ながらお風呂に入る。
ただでさえ異国で一人なのに、更に輪をかけて一人きりになれた。大切な時間だった。



 香りがいいバスバブルやバスソルトを選ぶ事も、私にとっては非常に大切な事だったので、スーパーマーケットやデパートや小さい化粧品屋のものも、かなり色々と物色した。そのお陰で花やハーブの種類、フルーツの香りのフランス語表記などにかなり強くなった。
 りんごやアプリコット、イチゴやミルクの香りの入浴剤は本当に普通で、チョコレートやバニラ、シナモンアップルやシナモンバナナもある。そして不思議とこの国でのお風呂の時間には、そういう日本ではあまり考えられない香りが良く合う事を発見した。
 どんな時に幸せなのか、ちゃんと考えられた結果、この香りが選ばれたに違い無い。フランスの幸せの香り。
美味しいチョコレートを食べる。幸せだ。バニラクリームのたくさん乗ったワッフル。これも幸せだ。シナモンの香りのあたたかいアップルパイも。
 この国の人達は甘いものを愛している。甘い香りが彼等にとって幸せの象徴なのだと感じる。文化の違いでもあるけれど、私がフランスの生活で一番早く体で感じ、同時に受け入れたものはこの香りだった。甘い物は良い香り。と私の脳にインプットされてしまった。
 パリではいつも、どこに居ても甘い香りがしてくる。パリの街路樹マロニエも雨が降った後、ほんのり甘い香りを漂わすのだ。この甘い香りにいつもみんなが癒されているのだ。

 友人から貰ったおすまし顔のボトルのコルクを抜き、お風呂に入れてみる。シナモンオレンジの香りが広がった。また今日もお風呂でのひとときで幸せになれる。
 ゆげゆげ、あわあわ、フランスの幸せの香り。友人の言葉を口にしてみる「これー、マジいいにおいなんだけど。」この言葉とこの香りはなんだか合うな。と思ったらちょっと笑えてまた幸せな気分になった。


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